角質層の乱れがくすみの原因に?透明感を取り戻す「補水ファースト」のすすめ
ノート

角質層の乱れがくすみの原因に?透明感を取り戻す「補水ファースト」のすすめ

朝、鏡をのぞいたときに「なんとなく顔色が暗い」「肌が疲れて見える」と感じることはありませんか?この“くすみ”は加齢や睡眠不足だけでなく、肌の最も外側にある角質層のコンディションと大きく関わっています。

角質層は厚さわずか0.01〜0.02mmほどですが、水分を抱え込み外部の刺激から肌を守る役割を担っています。ここが整っていると表面はなめらかになり、光を均一に反射するため、自然な透明感が生まれます。反対に乾燥や外的ストレスで角質層が乱れると、光の反射が均一でなくなり、肌全体がくすんで見えてしまうのです。

角質層の水分不足がもたらす影響


角質層は「レンガとセメント」に例えられることがあります。細胞(レンガ)を脂質(セメント)がつなぎ、水分を保持しながらバリアをつくっているイメージです。ところが水分が不足するとバランスが崩れ、外からの刺激(紫外線や乾燥)を受けやすい状態になります※1

紫外線や乾燥の影響を受けやすくなると、角質層の並びが乱れて表面がざらつきやすくなります。その結果、光がきれいに反射されず、透明感が損なわれてしまいます。

光の乱反射とくすみの関係

肌の明るさや透明感は、表面で光がどのように反射するかで大きく変わります。イギリス・シェフィールド大学の研究では、季節によって肌の水分量や表面のなめらかさに違いが生じ、特に冬は乾燥で粗さが増して光の反射が乱れることが報告されました※2。つまり、肌が暗く見えるのは、色だけの問題ではなく、光の反射バランスが崩れることでも起きると言えます。

補水ファーストで角質層を整える

肌をなめらかに保つために大切なのが「補水ファースト」という考え方。これは、水分を閉じ込める保湿を意識する前に、まず水分を角質層に届けるという発想です。

2008年の研究では、水性ローションによる保湿効果は油性クリームと比べて、約6倍長く続くことが示されました※3。ローションは塗布から3時間後でも高い水分量を保っていたのに対し、クリームは30分程度で効果が弱まっていたのです。



これは、補水を先に行うことでその後の保湿ケアも活きるということの裏付けと言えるでしょう。さらに、別の臨床試験では「水分補給のあとに保湿成分を重ねる」ことで、肌の水分蒸散(TEWL)が有意に低下し、バリア機能が改善することも報告されています※4

補水ファーストを実践するポイント

毎日のスキンケアで補水ファーストを取り入れるのは、それほど難しくありません。

  1. 洗顔・入浴後すぐに化粧水をつける
    →肌が水分を受け入れやすいタイミングを逃さない。
  2. 数回に分けて重ねづけする
    →一度に大量ではなく、肌に浸透させるように2〜3回に分けて。


このシンプルな流れを習慣化することで、角質層は整い光をきれいに反射できる透明感のある“艶肌”に近づきます。

肌のくすみは一度に解消できるものではありませんが、角質層に水分を届けるという日々の小さな積み重ねが、未来の肌印象を大きく変えます。

「乾燥したら保湿」から「まず水分を与える=補水」へ。スキンケアへの意識を少し変えるだけで、くすみを防ぎ、透明感のある肌へと近づいていくでしょう。



※1 Proksch E. et al. The skin barrier function and hydration. J Dermatol Sci, 2008.
※2 Sheffield Univ. Seasonal variation in skin biophysics: hydration, roughness and friction, 2021.
※3 Aoyagi N. et al. Moisturizing effect of water-based vs oil-based formulations on skin impedance. Gunma Paz University Bulletin, 2008.
※4 Loden M. The clinical benefit of moisturizers. J Eur Acad Dermatol Venereol, 2012.