見た目年齢に差が出る「光老化」――未来の肌を変える紫外線対策
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見た目年齢に差が出る「光老化」――未来の肌を変える紫外線対策

鏡を見たときに、「なんだか老けて見える……」と感じた瞬間がありませんか?しわ、たるみ、くすみといった肌の変化は、つい加齢のせいにしてしまいがちですが、実はこうした肌の印象に大きな影響を与えているのが紫外線による“光老化”だと言われています。

肌老化の約80%は、紫外線が原因?

「老化=年齢に伴う変化」と考えるのが一般的かもしれませんが、皮膚科学の分野では肌の老化の約80%が光老化によるものと捉えられています。

1986年に行われた比較研究では、紫外線を長期間浴びてきた部位(顔、前腕)と、衣類に覆われた部位(臀部など)の皮膚を比較し、しわ、弾力性、色素沈着、角質層の厚みといった複数の老化指標を分析。その結果、日常的に光を浴びる皮膚では、老化の兆候が顕著に進行していることが確認され、見た目の肌老化の8割は紫外線(光老化)に起因すると推定されました。

この数値はその後の臨床研究や疫学研究でも支持され、皮膚科学や美容医療の分野では広く知られる共通認識となっていて、加齢と光老化を分けて考える重要性が語られています。

加齢は避けられない変化ですが、紫外線による光老化は、紫外線対策を行うことで予防可能な老化だと言えるでしょう。

光老化が起こるメカニズム:肌の奥で何が起きているのか

紫外線には、UV-AとUV-Bがありますが、光老化に特に関わるのがUV-Aです。UV-Bは主に肌表面に影響を与え、日焼けや炎症を起こします。一方で、UV-Aは波長が長く、真皮にまで到達して肌の構造そのものにダメージを与えます。そのひとつが、「MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)」という酵素の活性化です。

MMPは体内で古くなったコラーゲンやエラスチンなどを分解し、新しい成分と入れ替える役割を担う重要な酵素です。しかし、紫外線(特にUV-A)を過剰に浴びると働きが過剰になり、必要なコラーゲンまで分解してしまいます。その結果、肌のハリや弾力が失われ、しわやたるみが徐々に形成されていくと考えられています。

紫外線ダメージは「蓄積する」

紫外線による肌ダメージには、 “見える変化”と“見えにくい変化”の2種類があります。

日焼けによる赤みや黒く変色する現象は、一時的な炎症反応やメラニンの産生によるもので“見える変化”です。これらは時間の経過とともに徐々に落ち着いていくことが多く、肌表面の修復が進めば元の状態に戻る場合もあります。

一方で、深刻なのは肌の奥でじわじわと進行する“見えにくい変化”です。紫外線を受けた際に起こる酸化ストレスやDNAダメージなどの情報は、細胞レベルで“記憶”されます。これが年月とともに蓄積し、ある日突然シミやシワとして現れることも。

たとえば、若い頃に日焼け止めを塗らずに長時間屋外にいた経験が、数十年後の肌に“影”として残るという可能性も秘めています。つまり、今日・現在の紫外線対策は、“今の肌”を守るだけでなく、未来の自分の肌をどう見せるかを左右する行動とも言えます。

紫外線とどう付き合うかが未来の肌を決める

年を取ることは止めることができませんが、光老化の原因となる紫外線との付き合い方は選ぶことが出来ます。「日焼け止めクリームを塗る」「日傘などの遮光アイテムを活用する」といった事はよく知られていますが、次のような対策もあります。

帰宅後の洗顔・クレンジング 肌に残った紫外線による酸化物質や汚染物質を速やかに取り除くことで、炎症や酸化ストレスの連鎖を防ぐ。
室内の遮光対策 UV-Aは窓ガラスを透過して室内にも入り込む。窓際で過ごす時間が長い人は、UVカットカーテンや室内用日焼け止めも効果的。
睡眠と栄養の見直し 肌の修復は夜間に活性化される。紫外線でダメージを受けた肌の回復力を高めるには、良質な睡眠とビタミンA・C・Eなどの抗酸化栄養素をしっかり摂ることも大切。


これらの小さな積み重ねが、数年後の肌の印象を大きく左右します。肌は、日々の選択の積み重ねによってつくられていきます。紫外線との関係もまた、単なる美容やスキンケアに留まらず、QOLに関わる生活習慣の1つとも言えるでしょう。

だからこそ、光(紫外線)を必要以上に怖がるのではなく、肌や体への影響を正しく理解しながら、賢く付き合っていく。1004 SEN[C]が提唱する“サニフィケーション”という言葉には、そういった価値観も込めています。

未来の肌を少しだけ思いやり、毎日のルーティンであるスキンケアの中に紫外線対策を取り込んでみるのはいかがでしょうか?